書面でなければならない契約
2023/04/22
書面でなければならない契約
公正証書や書面でしなければいけないものがある!!
おはようございます!こんにちは!こんばんは!
岐阜県の行政書士、こんちゃん先生こと近藤です。
先日、契約書は書面で残しましょうねとお話しましたが、今回は書面(公正証書)で契約してください!と決まっている契約のお話です。
特に、『公正証書』での契約が必要なものは、公正証書以外の書面や口頭での契約では無効になってしまうので注意が必要です。また、公正証書でなくても法律上、書面が要求されているものもありますので順番にお話しします!
ではまず・・・
絶対に公正証書作成が必要な契約とは何?
1.任意後見契約(任意後見契約に関する法律第3条)
そもそも任意後見契約って何??ですよね・・・。任意後見契約を簡単に説明すると、将来の認知症や障害に備えて、事前に自らが選んだ人(任意後見人)に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておくことです。
契約締結には、ご本人の契約締結能力の有無を公証人が確認する必要があるので、公正証書での作成が必須となります。
2.事業貸付金の保証契約を締結する場合の保証意思宣明(民法465条の6)
またまた聞きなれない言葉ですよね・・・。
簡単に説明しますと、今まで保証人になる者が、その意味やリスク、保証することとなる債務の内容について理解が不十分なまま、債務者への感情や義理になどで安易に保証契約をしてしまい、結果的に生活の破綻・崩壊を生んでいたことが問題視されていました。
そのため、民法が改正されたことで、事業用の融資について保証契約をするには、契約前1か月以内にに公証人が事前に保証人になる者の保証契約の締結の意思を確認し公正証書を作成しなければ、保証契約は効力を生じないとの規定が新設されたました。
つまり、事業用融資について保証契約を締結するには保証人は事前に保証意思の確認してありますとの書類(保証意思宣明公正証書)を作らなければ、保証契約は効力を生じません。
3.事業用定期借地権(借地借家法第23条)
事業用定期借地権は、通常の借地権とは異なり、建物買取請求権(土地上の建物を時価で地権者『土地所有者』に買い取ることを請求できる権利)や契約の更新などがなく、契約期間の満了により土地を明け渡さなければいけません。
よって、本当に事業用定期借地権であるか(事業用でもマンションや社宅は不可、当然に居住用の建物は不可)を公証人が審査したう上で契約することが必要なので、公正証書でなければなりません。
次に、
公正証書でなくてもいいが、書面がですることが必要な契約とは?
1.遺言書
契約ではありませんが、書面での作成が必要なものの一つです。ビデオや音声などデジタル遺言などもメディアなどで紹介されますが、法律上は無効です。つまり、ビデオやボイスメッセージなどで遺言を作り財産を相続させる、遺贈すると決めても法律上、財産は移転しません。
原則として、遺言は書面で作成する必要があります。例外としては、船舶遭難者がする遺言(民法979条)になります。詳しい遺言の種類等は別の機会にお話しします。
2.保証契約(民法446条2項、3項)
『あれ?さっき保証契約は公正証書でって言ってませんでした』
『保証意思宣明公正証書』は、保証契約締結の意思確認を公正証書を作って行うのであり、保証契約自体は書面で行えば効力を生じます。
3.書面による消費貸借契約(民法587条の2)
従来、消費貸借契約は貸借物を貸主から借主へ交付(引渡す)ことで契約が成立するのですが、実務上は契約が先行して、貸借物の交付が後日に行われるので、民法改正により新たに規定されました。
分かりやすくお話すると、銀行からお金を借りるときに、融資の申し込み後に、承認がされると金銭消費貸借契約を締結します。その後、取り決めた日に融資が実行(お金の振込み)がされます。
当事者が直ちに債権債務関係を発生させることを明確にし、安易な契約を防止するために書面での契約を要求しています。
4.定期建物賃貸借契約、定期借地権設定契約(借地借家法22条、38条)
どちらも、契約の更新がない特約は、書面でしなければなりません。条文上は、『公正証書による等書面によってしなければならない。』とありますが、これは公正証書に限定しているわけではなく、公正証書を含む書面によって行うことを規定しているにすぎません。
5.建設業者の工事の請負契約
建設業許可の不要な軽微な工事であっても、工事請負契約書や注文書・注文請書は書面作成が必要です。
6.宅地建物取引業関係
(宅地建物取引業法34条の2,34条の3、35条、37条、37条の2)
□媒介契約書 □代理契約書 □重要事項説明書 □売買契約書、賃貸借契約書
□クーリングオフを告知する書面
いずれも書面にて、交付することが宅地建物取引業法に規定されています。
最後に・・・
以前もお話しましたが、契約はほとんどの場合で『口頭』にて成立することが可能です。(今回お話ししたものを除く)
しかし、どんなに親しい仲でも、信頼のある取引関係があっても、その契約・取り決めを実際に実現させるのは『人』です。環境や状況、時には心情(又は信条)、立場が変わればその関係は一変します。そして、一度揉めると人は変わっていきます。
よって・・・
契約は『口頭』によるのではなく、書面で契約締結されることをお勧めいたします。
契約書の取り交わしを言い出せない相手とは、そもそも契約しないというのも一つの選択肢です。
契約書の作成や公正証書の作成の際には、司法書士・行政書士・弁護士など専門家に依頼すると必要事項の漏れを防ぐことができます。
当事務所でも。契約書の作成、公正証書の作成のご相談を承っております。
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